カラスの種類
カラスの種類
1.「カラス」と呼ばれるのは、おもにハシブトガラスとハシボソガラスです。
2.この2種類のカラスは、頭の形、声の違いで区別をすることができます。
3.ハシブトガラスとハシボソガラスは、すんでいるところ、食べ物など、習性が微
妙に異なります。それだけに、人との関わり方も異なります。まず、この2種類
を区別しましょう。
カラスの仲間
地球上には、約9,000種類の鳥類が生息しています。
この内、約半分の5,000種類近くがスズメ
の仲間、いわゆる小鳥が多く含まれるスズメ目という大きなグループに入ります。
カラスの仲間、カラス科もこのスズメ目に分類されています。このカラス科には、約100種類がいます。正確に言うと、カラスの仲間は分類学的には鳥綱スズメ目カラス科に属する種類となります。
カラス科の鳥は、鳥類の中でもっとも進化した種類だといわれています。
鳥の名前を分類の順序にならべたリストは、おおむね古い時代に現れた種類から並んでいて、カラスの仲間は後ろのほうになります。
カラスの仲間は、新しい種類、鳥類の進化のなかで最近になって出現した鳥と言えるでしょう。
高等な種類と言われることがありますが、分類の前の方に並んでいる鳥たちは、長い地球の歴史のなかで生き延びてきた術を持っているわけですから、これを下等といってしまうのは適切ではありません。
カラスに近い仲間には、日本ではムクドリがいます。
ムクドリは、黒っぽい色彩をベースとした地味な鳥ですので、カラスの近縁種であることが納得できます。しかし、世界の鳥全体を見ると、もっと近い仲間は、ゴクラクチョウの仲間です。
ゴクラクチョウはニューギニアなどに分布し、雄は美しい羽毛とともに奇妙なダンスをすることで知られています。
熱帯のジャングルに住む森林性で果実食の鳥です。この意味でカラスの習性のなかにもゴクラクチョウに相通じるものがあります。
さて、日本で記録されたことのある鳥類は約600種です。
この内、カラス科の鳥は10種です。
この中には、オナガやカケスのように色彩的にはどちらかというと派手で黒以外の色を持つ種
類も含まれています。
“カラス”という和名の鳥はいませんが、黒を基調とした無彩色で一般にカラスと呼ばれているのはカラス属の鳥です。
この中には、ハシブトガラス、ハシボソガラス、ワタリガラス、ミヤマガラス、コクマルガラスの5種がいます。
“カラス”は、シラサギ、キツツキ、ハトと同じように特定の仲間を表す総称です。
このように一口にカラスといっても多くの種類がいます。
しかし、私たちがごく普通に見ることができて、人が生活している都会とその周辺、農村などで生息しているのはハシブトガラスとハシボソガラスの2種類です。
そのため、私たちヒトと軋轢を生じて、しばしば問題になるのも、おもにこの2種類ということになります。
なかでも、ハシブトガラスは近年、都市環境における増加が顕著で、問題もさまざま、かつ深刻なものになっています。今、もっとも関心の集まっている鳥です。
その他、カラスの仲間をあげてみると、ワタリガラスは北海道東部や北部に冬鳥として少数
が訪れる渡り鳥です。
ミヤマガラスは西日本、とくに九州の平地に冬鳥として訪れ、大きな群れで見られることもあります。最近では東北地方や関東地方でも記録が増えています。
コクマルガラスは、ユーラシアに広く分布している鳥ですが、日本ではおもに西日本に冬鳥として少
数が渡来する渡り鳥です。
ハシブトガラスとハシボソガラス
a)区別の仕方
ハシブトガラスとハシボソガラスは、大きさもほとんど同じで色も全体に黒く似ていること
から、一口にカラスと一くくりにされてしまうことがよくあります。しかし、この2種は住んで
いる環境が違い、習性も異なります。そのため、カラスの問題を考えるとき、あるいは対策を
講じるとき、ハシブトガラスなのかハシボソガラスかでは対応が違ってくる場合が少なくあり
ません。
この2種を区別しないと、施策を誤るかもしれません。まずは、この2種のカラスの区
別をするようにしましょう。
この2種は、大きさ、形、色が、似ているために、野外での区別には、多少のコツが必要です。
しかし、慣れれば両種を区別することができるようになります。
まず、名前のとおり、嘴がハシブトガラスでは太く、ハシボソガラスでは細いという違いが
あります。これは、あくまでもこの2種の比較です。ハシボソガラスだけを見れば、他の鳥に比
べて太いと感じるでしょう。
そこでもう一つのポイントは、額の出っ張り方の違いです。
ハシブトガラスは嘴から額のラインが出っ張っています、またハシボソガラスは嘴からのラインがなだらかで細い顔つきをしています。これは、シルエットでもわかる特徴で、姿による識別は
この額の出っ張り方を見ればわかりますまた、鳴き声にも違いがあります。
ハシブトガラスは「カア、カア」と澄んだ声で鳴きます。
ハシボソガラスは「ガア、ガア」と濁った声で鳴くことで区別できます。ただし、ハシボソガ
ラスが澄んだ声で鳴くことはありませんが、ハシブトガラスはいろいろな声で鳴くことありま
す。とくに威嚇するときは少し濁って聞こえます。少なくとも「カア、カア」と澄んだ声で鳴
いていたらハシブトガラスだと思って間違いないでしょう。
鳴き声とともに、鳴く姿勢も違います。ハシボソガラスは、杭の先、鉄塔、電柱、枯れ木の
てっぺんなど目立つ所にとまり、頭を前後におじぎをするように振り、この動作に合わせて
「グワララ、グワララ」と鳴く特有の行動を行います。このとき、背中と喉から胸の羽を逆立て
ることがあります。この行動は、一年中行い、巣立った雛が親鳥にしているのを見ることもあ
ります。
それに対しハシブトガラスは、体を45度に保った姿勢で、声に合わせて、尾を真下に下げる
動作を行います。このとき翼をピンと振り下げます。ですから、鳴く行動からでもこの2種類を
区別することができます。
このように、まずは額のラインと鳴き声の2点を確認して、ハシブトガラスかハシボソガラ
スかの区別をしてください。もちろん、片方だけしか確認できないことやどちらとも判断でき
ないこともあります。しかし、何度かカラスを見つけたらここに注目して観察していると自然
と区別ができるようになるでしょう。
この他の区別のポイントを述べておきましょう。まずは、大きさです。大きさの目安のひと
つに全長があります。全長は、嘴の先から尾の先までの長さです。正確には、鳥を上向けに寝
かせて計ります。図鑑には、ハシブトガラスが56cm、ハシボソガラスが50cmとあります。ハ
シブトガラスの方が約1割ほど大きい測定値です。ただし、これは平均値なので、ハシブトガラ
スの小型のものとハシボソガラスの大型のものでは、 数値が重なり合います。 バードウォッチングの経験者の中には、飛ぶ姿でも大きく尾が長めに見えるのはハシブトガラス、比較して
小型なものはハシボソガラスと区別する人もいます。しかし、距離が遠かったり観察時間が短
かったりと、条件が悪い場合には区別は難しくなります。
飛び方が、ハシブトガラスがゆうゆうと羽ばたいて飛んでいくのに比べて、ハシボソガラス
の羽ばたきは浅く、パタパタといった感じに見えるのも、わかりやすいポイントです。
この他、次の項目で詳しく述べている、見つけた環境の違い、木にとまっているか地面を歩
いていることが多いかなども、目安になります。
戦う前にまず観察してみましょう!



